65歳以上は厚生年金に加入しなくてもよい?

70歳までは加入しなければなりません。

健康保険や厚生年金の加入(資格取得)については、巷で色々と言われているようですが、あまり正確ではありませんね。

下記のことはよく聞きます。

健康保険は加入したいが、厚生年金は加入したくない。(又はその逆)

→どちらか一方だけ加入するというようなことは認めれていません。

65歳以上は厚生年金に掛けなくてよいと知り合いから聞いた。

→雇用保険や他の制度と混同している可能性が高いです。厚生年金は70歳まで加入です。

既に年金を受給しているので、厚生年金には入れないはずだ。

→既に年金を受給していても、70歳までは加入しなければなりません。

他の制度(国民年金・国民健康保険・雇用保険)と間違いやすいこともあります。

国民年金の加入(保険料の徴収)は60歳までです。(60歳以上の任意加入もあります)

→そのため、厚生年金も60歳と勘違いしてしまうことがあります。厚生年金は70歳までです。

平成28年12月までは雇用保険の加入は65歳まででした。

→これも、厚生年金の加入要件と勘違いしてしまう1つです。
現在は、65歳以上も雇用保険の被保険者の対象になっています。


従業員は、加入(資格取得)することによって、給与の手取りが減ってしまうことを懸念し、また、事業主も従業員を加入させれば事業主の負担があるため、労使ともに加入したくないものです。
互いの利害が一致してしまい、本来は加入しなければならないのに、加入手続きをしていないというケースが多いようです。

もし、従業員が入りたくないといっても、手続きをしなければ事業主は処罰されますし、保険料を遡って徴収されます。また、下記のとおり従業員やその親族・遺族などから損害賠償請求を受けるリスクがあります。

従業員が間違うのはまだよいのですが(きちんと説明して資格取得手続きをするので)、事業主が間違うと大変です。本来、加入しなければならないのに加入させないと、将来受け取る年金が減ります。
被扶養配偶者は、3号被保険者にならないため未加入期間となり、国民年金の受給要件である10年を満たさず年金を1円も受け取れないという事態にもなりかねません。

また、障害などを負ったときに障害年金が受け取れません。遺族年金も同じです。
これらは損害賠償請求の対象になり得ますので、事業主は適切に資格取得手続きをしましょう。
もし、損害賠償請求が認められれば、将来に渡って受け取ることができるであろう年金を一時金として賠償しなければなりませんので、かなりの金額になります。現に、このような判決も出ています

<参考>
障害厚生年金の受給要件
初診日において被保険者であること
→万一、厚生年金に未加入であった場合は、障害を負っても障害年金を受給できなくなる危険性があります。また、事業主は損害賠償請求を受けるリスクがあります。
障害年金は、加入して直ぐ(1ヶ月でも)に障害を負ったとしても、最低保障がありますので、少なくとも300ヶ月加入したものとした年金額を受け取ることができます。

厚生年金の被保険者

短時間労働者への拡大

平成28年10月から、短時間労働者に対する適用が拡大されました。

・平成28年10月~
常時500人を超える事業所が適用されます

・令和4年10月~
常時100人を超える事業所が適用されます

・令和6年10月~
常時50人を超える事業所が適用されます

[適用される短時間労働者とは]
下記4つの全てに該当する労働者です。
・週20時間以上の所定労働時間
・継続して2カ月以上雇用されることが見込まれる
・賃金が月額88,000円以上
・学生以外
※その他、細かい要件等は年金事務所にて確認しておきましょう。

当然被保険者

適用事業所に使用される70歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者です。

任意単独被保険者

適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者は、厚生労働大臣の許可、事業主の同意を得て被保険者になることができます。

[被保険者になる要件]
・70歳未満
・厚生労働大臣の許可
・事業主の同意

高齢任意加入被保険者

適用事業所
70歳以上の者で、老齢厚生年金、老齢基礎年金、その他老齢・退職を事由とする年金給付の受給権を有しない者は、厚生労働大臣に申し出て被保険者になることが出来ます。

[被保険者になる要件]
・適用事業所
・70歳以上
・老齢・退職を事由とする受給権がない
・厚生労働大臣への申出

適用事業所以外
70歳以上の者で、老齢厚生年金、老齢基礎年金、その他老齢・退職を事由とする年金給付の受給権を有しない者は、厚生労働大臣の認可、事業主の同意を得て被保険者になることが出来ます。

[被保険者になる要件]
・適用事業所以外
・70歳以上
・老齢・退職を事由とする受給権がない
・厚生労働大臣の認可
・事業主の同意